1.ラベンダーの基本情報
ラベンダーについて見ていきましょう!
■分 類:耐寒性常緑多年草
■原 産:地中海沿岸
■学 名:Lavandula
■別 名:ヒロハラワンデル
■花言葉:清潔、優美、期待/疑い、不信、沈黙
■開花期:5~9月(四季咲き性の系統もある)
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2.ラベンダーの特徴
ラベンダーは、優雅で清々しく香るハーブの代表種です。香水やオイルの原料として有名で、切り花・クラフト・ドライフラワーなどに広く利用されます。
原産は地中海沿岸で、ヨーロッパでは古くから日常的に親しまれてきました。
ちなみに、ラベンダーの語源は、ラテン語の「洗う(lavare)」だと言われています。古代ローマ人が、ラベンダーを浴槽に入れたり、殺菌・消毒に用いていたことから由来しているそうです。
- 日当たりがよく、西日が当たらない風通しのよい場所で育てる。
- 高温多湿に弱いので、梅雨前に切り戻し(剪定)する。
- 花の直前が最も香りが良いので、満開前に早めに収穫する。
- 鉢植えの水やりは「土がしっかりと乾いたら、たっぷりと」を目安にする。
- 挿し木(挿し芽)で増やせる。
- 病害虫は比較的発生しにくい。
3.ラベンダーの育て方
種からの育て方
適期:4月~5月
発芽適温:20℃前後
ラベンダーは種が小さく、発芽・生育ともに遅いので、育苗して移植することでしっかりとした苗に仕立てることが大切です。この場合、開花は翌年からとなります。
- 種まき用土を、育苗箱の縁から2cmほどの深さまで入れます。
- 用土に種をまきます。細かい種なので、二つ折りにした封筒の上にのせてからまくと、均一に上手くまけます。
- 2~3mmくらいに薄く覆土して、指で上から軽く押さえて種と土を密着させます。
タネをまいた容器(まき床)は雨の当たらない、風通しのよい明るい日陰で管理します。発芽までは土を乾かさないようにします。
- 透明ポリ袋やビニールなどをかぶせて湿気を保つようにします。
- トレーや受け皿に水をため、鉢底穴から底面給水させます。
- 上から霧吹きでたっぷりと水をやります。
発芽したら、すぐに覆いを外して徐々に日当たりのよい場所に移します。土の表面が乾いたら静かに水を与えます。
子葉が開いたら、密になっている部分の苗を引き抜いて、株間をあけるようにします。ピンセットで株元をそっと掴んで引き抜いてやります。
最初の間引きは、子葉が開いた直後に行います。一度だけで終わりではなく、隣の葉同士が触れ合ってきたら間引くようにして、最終的に必要な数だけの苗を残しましょう。
■間引く苗
・育成不良のもの
・大きく育ちすぎているもの
・葉が変形しているもの
・茎の色が薄くなっているもの
・タネの殻をかぶったままのもの
■残す苗
・茎が太く、がっしりしているもの
・葉の色が綺麗でツヤがあるもの
- 本葉が3~4枚になったら、苗を丁寧に掘り上げ、培養土の入ったポットや小さい鉢などに移します。
- 鉢に鉢底網と培養土をいれ、植え穴をあけます。
- 植え穴に苗を植え付けて、株元を軽く押さえて安定させます。
- 水やりは、鉢底から水がしみ出すまで与えます。
- 2~3日は直射日光や風の当たらない半日陰で、乾燥に注意しながら管理します。
- しおれていた苗がしっかりと立ち上がったら根付いた証拠です。これを合図に、日当たりと風通しのよい場所に移します。
移植して1週間ほど経ったら、1000~2000倍に薄めた液肥を週1回ほど与えます。
苗からの育て方(初心者におすすめ)
鉢花は1年を通して出回りますが、暖かくなってきた3月頃から出回る苗を購入したほうが管理しやすいでしょう。
■良い苗
株が蒸れておらず、茎の節間が詰まっていて、ボリュームのあるもの。
■悪い苗
つぼみが垂れているものや、花が咲ききっているもの。
- 苗を植え付ける鉢を用意します。鉢の大きさは、いまの苗が入っているポットや鉢よりも、ひと回り大きいものを選びます。
- 鉢穴より少し大きめの鉢底ネットを穴の上に置きます。
- 鉢の深さの「6分の1」くらいまで鉢底石を入れます。
- 市販の緩効性肥料入りラベンダー用培養土を、鉢の深さの「3分の1」くらいまで入れます。
- しおれた部分や変色している葉は、植え付ける前にあらかじめカットしておきます。
- 苗を鉢の中心に置いてみて、苗の根元が鉢縁よりも少し低くなるようにします。
- 隙間に土を足し入れ、割り箸や棒などでつついて隙間を無くし、土の表面が鉢縁より1~2cmほど低くなるように高さを調整します。
- たっぷりと水を与え、2~3日は半日陰に置いて苗を安定させた後、日当たりと風通しの良い場所に移動させます。
ラベンダーは高温多湿が苦手なので、日当たりがよく、西日が当たらない風通しのよい場所を選びます。
- 苗を植える2週間くらい前に、あらかじめ苦土石灰で土壌を中和しておきます。堆肥や腐葉土を混ぜ、緩効性化成肥料を加えます。
- しおれた部分や変色している葉は、植え付ける前にあらかじめカットしておきます。そのままつけておくと病害虫の原因になります。
- 根鉢と同じくらいの植え穴をあけます。株間は「30~50cm」くらいとって蒸れないようにします。
- 植え穴に根鉢を置いて、高さを調整します。花壇の土の表面よりも「苗の土の表面が20㎝ほど高く」なるように土で覆って、軽く根元を押さえて安定させます。
- 株元にたっぷりと水を与えます。
4.ラベンダーの手入れ
▼水やりのタイミングは?
「土がしっかりと乾いたら、たっぷりと」を目安にします。
水やりは、「週に何回やれば良いという画一的な答えはない」ということをまずは頭に入れましょう。というのも、同じ植物でも、季節・天候・温度・湿度、用土の種類・性質、鉢の種類・置き場所など、いろいろな条件によって最適な方法が違ってくるからです。
▼水やりの方法と注意点は?
花・葉・茎に水が直接かからないように、鉢土に静かに注ぐようにします。鉢底から余分な水が流れ出るまで、たっぷりと与えましょう。そうすることで、土中に溜まった老廃物や古い空気が押し出され、新しい空気が流れ込んで根の呼吸を促します。また、鉢皿の水は溜めずにこまめに捨てましょう。
▼水を与えすぎると根腐れの原因に
土がまだ湿っている状態で、やみくもに水を与え続けると、根が窒息を起こして枯れてしまいます。そこに腐敗菌がとりつくことで、ますます根の状態が悪化します。これが「根腐れ」です。
根腐れの状態では水を吸い上げることができないので、葉がしおれてきます。これを見て、まだ水が不足していると勘違いして水を与え続けると、回復不能になってしまいます。
植え付けのときにたっぷりと水を与えておけば、基本的に水やりの心配はありません。花壇に植えた植物は地中に広く根を張り、水分吸収効率がよくなっているので、自然に雨が降れば十分です。
ただし、土が白っぽくなって完全に乾いているときや、雨だけでは補えないときなどは水やりが必要です。花・葉・茎に水が直接かからないように、静かに与えましょう。
▼収穫の時期
花の直前が最も香りが良いので、満開前に早めに収穫しましょう。
▼切り戻し(剪定)
■時期
梅雨に入ったらすぐに行います。ラベンダーは高温多湿に弱いので、切り戻して風通しを良くしてあげる必要があります。
■やり方
株姿を整えるように、株の「半分~3分の1」くらいの丈まで、花・茎・葉をバッサリと切り揃えます。なるべく、わき芽の上で切るようにしましょう。枝が混み合っているようであれば、その部分も切って間引くようにします。
ラベンダーは、挿し木(挿し芽)で増やすことができます。
- 若くて元気な枝先を7~10cmくらい切り取ります。
- 切った部分の下半分にある葉を摘み取ります。
- 土に挿す下側をカッターなどで「斜め」に切って、吸収効率を上げます。
- 水の入った容器に、30分ほど入れて水あげします。葉は水に浸けないようにします。
- 発根剤を切り口につけます。なければそのまま挿しても大丈夫です。
- 湿らせた挿し芽用土に植えます。棒で土に穴をあけて、挿し穂をさして土で固定します。
- 静かにたっぷり水を与えます。
- 直射日光を避け、半日陰で管理します。用土の表面が乾いたら水をやります。
- 少しずつ日に当てる時間を増やし、2~3週間したら、手で軽く引っ張ってみます。抜けずに手応えがあれば発根しています。
- 発根したら丁寧に掘り出し、1株ずつポットや鉢に移植して日当たりのよい場所で育てます。
5.ラベンダーに発生する病気と害虫
主な害虫
病害虫は比較的発生しにくいですが、アブラムシとハダニに注意しましょう。
▼症状
緑色や黒色をした小さな虫が群がって大量に発生します。植物に寄生して汁液を吸うため、生育がそこなわれます。甘い分泌液を出し、これにアリが集まるためアリマキとも呼ばれます。また、ウイルスを媒介して多くの病気を誘発します。
▼発生時期
4~6月、9~10月がピーク
▼予防と対策
- 日当たりと風通しをよくし、発見したらすぐにピンセットや割り箸などでつまんで捕殺します。
- 反射光を嫌うので、アルミホイルを敷いておくと寄り付きにくくなります。
- アブラムシに牛乳を直接吹きかけると窒息死します。
- 殺虫剤には比較的弱いので、市販の薬剤で簡単に退治できます。
▼症状
肉眼では見えないほどの小さな虫で、葉裏に寄生して汁液を吸います。初期段階では白い斑点が残り、やがて白っぽいカスリ状が広がります。食害が進むと、花や葉の色があせて生育を阻害します。
▼発生時期
3~10月(夏の高温乾燥時に多発)
▼予防と対策
- 早期発見、早期防除が大切です。
- 水を嫌うので、潜んでいる葉裏から水を吹きかけて繁殖を抑えます。
- 高温乾燥を好むので、風通しをよくします。
- 専用の殺ダニ剤で対処します。
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