ユリの育て方

1.ユリの基本情報

ユリについて見ていきましょう!

ユリの基本情報
■科 目:ユリ科
■分 類:耐寒性秋植え球根
■学 名:Lilium
■原 産:アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
■花言葉:純潔、注目を浴びる
■開花期:5~8月(初夏の花)

ユリの鉢植えや苗が買えるお店

ユリを買いたい場合は、販売店をのぞいてみましょう!
花屋やネットで購入できます。

2.ユリの特徴

優雅で気品のある佇まいから「高原の聖女」とも呼ばれるユリは、日本を中心として東アジアなどに多く自生する球根花です。

日本には15種類の野生種が自生しており、そこから園芸品種が500~600種ほど作られています。

育て方のポイント
  • 球根は「乾燥に弱い」ので、購入したら早めに植え付ける。
  • ユリは一定の寒さに当たらないと芽が伸び始めないので、10~11月に植え付ける。
  • チューリップと混植するとウイルス病になりやすいので、チューリップの近くには植えないようにする。
  • 球根の上側に伸びる「上根」から養分を吸収するため、植え付けは深くする。
  • 高性種や大型種は、茎の高さに応じて支柱を立てるとよい。
  • ユリの球根は乾燥を嫌うので、株元をワラや腐葉土で覆ってあげる。
  • 花後は球根を太らせるために、茎と葉を残したままにして肥料も与える。
  • 分球で増やすのが一般的な方法。
育てる場所

ユリは種類によって適地が違います。球根を購入した際についてくる説明書などでよく確認しましょう。

日当たりがよい所

テッポウユリ、ヒメユリ、スカシユリ、オニユリ、アジアティックハイブリッド、LAユリ

西日の当たらない半日陰

オトメユリ(ヒメサユリ)、タカサゴユリ、リーガルリリー、カノコユリ、トランペットリリー、オーレリアンハイブリッド

明るい日陰

ササユリ、ヤマユリ、サクユリ、オリエンタルハイブリッド

3.ユリの育て方

育て方

球根からの育て方

球根の植え付け
適期:10~11月
  • ユリは寒さに強く、一定の寒さに当たらないと芽が伸び始めません。
  • 球根は、全体に大きく、引き締まっていて、乾燥していないものを選びます。
  • ユリの球根は「乾燥に弱い」ので、購入したら早めに植え付けます。
  • ユリは球根の上下から根が出て、それぞれ「上根」「下根」と呼ばます。球根よりも上側から伸びる「上根」から養分を吸収するため、深く植え付ける必要があります。
  • 球根から下根が出ている場合は、下根を広げて植えます。
鉢植えの場合
鉢の大きさ:7号鉢なら「小3-4球、中2-3球、大1球」が目安。
用   土:赤玉土(小)6、腐葉土3、バーミキュライト1
植える深さ:鉢の高さの中間よりやや下
肥   料:元肥として緩効性化成肥料
  1. 鉢穴より少し大きめの鉢底ネットを穴の上に置きます。
  2. 鉢底石を均等に薄く敷きます。
  3. 用土を入れます。土の表面が鉢縁より1~2cmほど低くなるように高さを調整します。
  4. 球根を植えて覆土します。
  5. 鉢底から水が出るまでたっぷりと水を与えます。
地植えの場合
植える深さ:球根の大きさの3~4倍(約20~30cm)
植える間隔:球根の大きさの3~4倍(約20~30cm)
肥   料:元肥として緩効性化成肥料
  1. 球根を植える2週間くらい前から、土に堆肥や腐葉土を混ぜてよく耕しておきます。元肥として緩効性化成肥料を加えます。
  2. 植え穴を30cmほど深めに堀ります。
  3. 複数の球根を植える場合は、間隔を30cmほど空けます。
  4. 球根を植え穴の中央に置き、覆土して水を与えます。

4.ユリの手入れ

水やり
水やり
鉢植えの場合

▼水やりのタイミングは?

「土の表面が乾いたら、たっぷりと」を目安にします。冬も活動しているので、水切れはしないように注意します。

▼水やりの方法と注意点は?

花・葉・茎に水が直接かからないように、鉢土に静かに注ぐようにします。鉢底から余分な水が流れ出るまで、たっぷりと与えましょう。そうすることで、土中に溜まった老廃物や古い空気が押し出され、新しい空気が流れ込んで根の呼吸を促します。また、鉢皿の水は溜めずにこまめに捨てましょう。

▼水を与えすぎると根腐れの原因に

土がまだ湿っている状態で、やみくもに水を与え続けると、根が窒息を起こして枯れてしまいます。そこに腐敗菌がとりつくことで、ますます根の状態が悪化します。これが「根腐れ」です。

根腐れの状態では水を吸い上げることができないので、葉がしおれてきます。これを見て、まだ水が不足していると勘違いして水を与え続けると、回復不能になってしまいます。

地植えの場合

植え付けのときにたっぷりと水を与えておけば、基本的に水やりの心配はありません。花壇に植えた植物は地中に広く根を張り、水分吸収効率がよくなっているので、自然に雨が降れば十分です。

ただし、土が白っぽくなって完全に乾いているときや、雨だけでは補えないときなどは水やりが必要です。花・葉・茎に水が直接かからないように、静かに与えましょう。

冬越し

ユリは寒さに強く、一定の寒さにあたらないと芽が伸び始めないので、鉢植えは戸外で冬越しさせます。

地植えの場合は、霜よけと土の乾燥をかねて、ワラや腐葉土をかけておくと安心です。

乾燥対策

土が乾くと球根が弱るので、ある程度の湿り気を保つようにします。

特に夏場などは、株元をワラや腐葉土でおおってあげると、土の乾燥と地温の上昇を抑えることができます。

肥料
  • 元肥として、緩効性化成肥料を施します。
  • 追肥は、春になって芽が出たら、液肥を「月に2回」施します。
  • 花後は、球根が急速に肥大するので、液肥を「月に2回」施します。
花がら摘み

開花期間中に、咲き終わった花はひとつずつ丁寧に摘んでいきましょう。

しおれた花をそのまま放っておくと、養分が種を作るために使われるので、開花期が短くなってしまいます。

ユリの花は早めに子房下の花首で切り取ります。

また、しおれた花は病害虫の原因になるので、落ちた花びらなどもこまめに拾って清潔に保つようにしましょう。

花が咲き終わったら

花後は、球根を太らせるために、できるだけ茎と葉を残して光合成させて、肥料を与えます。

また、乾燥を嫌うので、土が乾いたら積極的に水やりします。

掘り上げ
適期:10~11月
間隔:2~3年に1回
  1. 茎や葉が黄変してきたら、地表部を切り取って、球根を掘り上げます。
  2. 球根から伸びている茎と古根を切り、すぐに植え付けるか、保存します。
  3. 保存する場合は、通気できるように小さな穴をあけたビニール袋を用意して、そこに湿らせたバーミキュライトと球根を入れて保存します。
増やし方
分球

掘り上げた球根は自然分球しているので、2~3球ずつに手で分けてから植え付けます。

鱗片挿し

球根の外側を覆っている鱗片から増やす方法です。

  1. 一番外側の鱗片は使わずに処分して、内側の鱗片を使います。
  2. 親球から鱗片を1片ずつ剥がして、湿らせたバーミキュライトに挿します。
  3. 春に芽が伸びると基部に小さな球根ができます。それを分球して植え替えると3~4年で開花球になります。
木子、むかご

木 子:地下の茎につく小さな球根
むかご:オニユリ系の地上部の茎にできる部分

湿らせたバーミキュライトに4~5cmの深さで植えて、水やりして肥大させると3~4年で開花球になります。

5.ユリに発生する病気と害虫

病気と害虫

主な病気

モザイク病(ウイルス病)

▼症状

葉に濃淡のモザイク状(まだら模様)の病斑が現れます。葉や茎が萎縮したり、変形、変色するなど、症状はさまざまです。

ウイルスは主にアブラムシによって運ばれて伝染します。

▼発生時期

3~10月

▼予防と対策

  • 一度感染すると治療できません。
  • 主にアブラムシによって伝染するので、アブラムシ対策を徹底します。
  • 他へ伝染しないように、発病した株は抜いて焼却処分します。

主な害虫

アブラムシ

▼症状

緑色や黒色をした小さな虫が群がって大量に発生します。植物に寄生して汁液を吸うため、生育がそこなわれます。甘い分泌液を出し、これにアリが集まるためアリマキとも呼ばれます。また、ウイルスを媒介して多くの病気を誘発します。

▼発生時期

4~6月、9~10月がピーク

▼予防と対策

  • 日当たりと風通しをよくし、発見したらすぐにピンセットや割り箸などでつまんで捕殺します。
  • 反射光を嫌うので、アルミホイルを敷いておくと寄り付きにくくなります。
  • アブラムシに牛乳を直接吹きかけると窒息死します。
  • 殺虫剤には比較的弱いので、市販の薬剤で簡単に退治できます。

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