リナリアの育て方

1.リナリアの基本情報

リナリアについて見ていきましょう!

リナリアの基本情報
■科 目:オオバコ科ウンラン属
■分 類:耐寒性秋まき一年草/耐寒性多年草
■原 産:地中海沿岸
■学 名:Linaria
■別 名:ヒメキンギョソウ
■花言葉:この恋に気づいて
■開花期:4~6月(春の花)

リナリアの鉢植えや苗が買えるお店

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2.リナリアの特徴

リナリアは可愛らしい小さな花を多数咲かせます。寄植えが可能なので、花壇を鮮やかに彩ることができます。

花の形がキンギョソウに似ていることから、「姫金魚草」とも呼ばれますが別の仲間になります。

寒さに強い春の花で、一年草と多年草のタイプに分かれます。一年草は夏で終わりますが、多年草は花後、花茎を切り戻すと秋まで花が咲きます。

日当たりと風通しがよく、水はけのよい肥沃な場所を好みます。

育て方のポイント
  • 種まきの時期は、9~10月の秋がよい。
  • 好光性種子なので、覆土しないか、2~3mmくらいに薄く覆土する。
  • 肥料はチッソ分の少ないものを控えめに与える。
  • 密植でもよく開花し、こぼれ種でも増える。
  • 苗立枯病に注意する。

3.リナリアの育て方

育て方

種からの育て方

種まき

適期:9~10月
発芽適温:15~20℃

(1) 育苗箱に種をまく
  1. 種まき用土を、育苗箱の縁から2cmほどの深さまで入れます。
  2. 用土に種をまきます。細かい種なので、二つ折りにした封筒の上にのせてからまくと、均一に上手くまけます。
  3. 好光性種子なので、覆土しないか、2~3mmくらいに薄く覆土して、指で上から軽く押さえて種と土を密着させます。
(2) まき床を管理する

タネをまいた容器(まき床)は雨の当たらない、風通しのよい明るい日陰で管理します。発芽までは土を乾かさないようにします。

  • 透明なビニールなどをかぶせて湿気を保つようにします。
  • トレーや受け皿に水をため、鉢底穴から底面給水させます。
  • 上から霧吹きでたっぷりと水をやります。
(3) 発芽

発芽したら、すぐに覆いを外して徐々に日当たりのよい場所に移します。土の表面が乾いたら静かに水を与えます。

(4) 間引き

子葉が開いたら、密になっている部分の苗を引き抜いて、株間をあけるようにします。ピンセットで株元をそっと掴んで引き抜いてやります。

最初の間引きは、子葉が開いた直後に行います。一度だけで終わりではなく、隣の葉同士が触れ合ってきたら間引くようにして、最終的に必要な数だけの苗を残しましょう。

■間引く苗
・育成不良のもの
・大きく育ちすぎているもの
・葉が変形しているもの
・茎の色が薄くなっているもの

■残す苗
・茎が太く、がっしりしているもの
・葉の色が綺麗でツヤがあるもの

(5) 移植
  1. 本葉が3~4枚になったら、苗を丁寧に掘り上げ、培養土の入ったポットや小さい鉢などに移します。
  2. 鉢に鉢底網と培養土をいれ、植え穴をあけます。
  3. 植え穴に苗を植え付けて、株元を軽く押さえて安定させます。
  4. 水やりは、鉢底から水がしみ出すまで与えます。
  5. 2~3日は直射日光や風の当たらない半日陰で、乾燥に注意しながら管理します。
  6. しおれていた苗がしっかりと立ち上がったら根付いた証拠です。これを合図に、日当たりと風通しのよい場所に移します。
(6) 追肥

移植して1週間ほど経ったら、1000~2000倍に薄めた液肥を週1回ほど与えます。

苗からの育て方(初心者におすすめ)

苗の選び方

鉢花は秋から春にかけて出回りますが、暖かくなってきた春頃から出回る苗を購入したほうが管理しやすいでしょう。

■良い苗
・株元がしっかりしているもの。
・よく枝分かれしていて、わき芽や葉数が多いもの。

■悪い苗
・葉色が黄ばんで、しおれているもの。
・茎が弱々しく伸びて、全体にバランスが悪いもの。

苗の植え付け方法
肥料はチッソ分の少ないものを控えめに与える
元肥や追肥にチッソ分が多すぎると、茎葉が徒長して倒れやすくなります。
鉢植えの場合

鉢の大きさ: 6号鉢に3株が目安
用土例: 赤玉土6・腐葉土3・川砂1
肥料: 元肥として緩効性化成肥料

  1. 苗を植え付ける鉢を用意します。鉢の大きさは、いまの苗が入っているものよりも、ひと回り大きいものを選びます。
  2. 鉢穴より少し大きめの鉢底ネットを穴の上に置きます。
  3. 鉢の深さの「6分の1」くらいまで鉢底石を入れます。
  4. 用土を鉢の深さの「3分の1」くらいまで入れます。
  5. しおれた部分や変色している葉は、植え付ける前にあらかじめカットしておきます。
  6. 苗を鉢の中心に置いてみて、苗の根元が鉢縁よりも少し低くなるようにします。
  7. 隙間に土を足し入れ、割り箸や棒などでつついて隙間を無くし、土の表面が鉢縁より1~2cmほど低くなるように高さを調整します。
  8. たっぷりと水を与え、2~3日は半日陰に置いて苗を安定させた後、日当たりと風通しの良い場所に移動させます。
地植えの場合

場所: 日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所
株間: 30cmくらいを目安(密植でもよく開花する)

  1. 苗を植える2週間くらい前に、あらかじめ苦土石灰で土壌を中和しておきます。堆肥や腐葉土を混ぜ、緩効性化成肥料を加えます。
  2. しおれた部分や変色している葉は、植え付ける前にあらかじめカットしておきます。そのままつけておくと病害虫の原因になります。
  3. 植え穴をあけて根鉢を置いて、高さを調整します。花壇の土の表面の高さと「同程度~やや高く」なるように土で覆って、軽く根元を押さえて安定させます。
  4. 株元にたっぷりと水を与えます。

4.リナリアの手入れ

水やり
水やり
鉢植えの場合

▼水やりのタイミングは?

「土の表面が白っぽく乾いたら、たっぷりと」を目安にします。

▼水やりの方法と注意点は?

花・葉・茎に水が直接かからないように、鉢土に静かに注ぐようにします。鉢底から余分な水が流れ出るまで、たっぷりと与えましょう。そうすることで、土中に溜まった老廃物や古い空気が押し出され、新しい空気が流れ込んで根の呼吸を促します。また、鉢皿の水は溜めずにこまめに捨てましょう。

▼水を与えすぎると根腐れの原因に

土がまだ湿っている状態で、やみくもに水を与え続けると、根が窒息を起こして枯れてしまいます。そこに腐敗菌がとりつくことで、ますます根の状態が悪化します。これが「根腐れ」です。

根腐れの状態では水を吸い上げることができないので、葉がしおれてきます。これを見て、まだ水が不足していると勘違いして水を与え続けると、回復不能になってしまいます。

地植えの場合

植え付けのときにたっぷりと水を与えておけば、基本的に水やりの心配はありません。花壇に植えた植物は地中に広く根を張り、水分吸収効率がよくなっているので、自然に雨が降れば十分です。

ただし、土が白っぽくなって完全に乾いているときや、雨だけでは補えないときなどは水やりが必要です。花・葉・茎に水が直接かからないように、静かに与えましょう。

冬季は扱いに注意

鉢植えの場合は、軒下などに移動させて管理します。
庭植えの場合は、霜よけをします。

水やりは、なるべく暖かい昼ぐらいに与えましょう。夕方に水を与えるのは禁物です。余分な水が夜まで鉢内に残っていると、鉢土を凍らせたり、低温で根を傷めてしまいます。

花がら摘み

開花期間中に、咲き終わった花はひとつずつ丁寧に摘んでいきましょう。

しおれた花をそのまま放っておくと、養分が種を作るために使われるので、開花期が短くなってしまいます。種を採る場合以外には種を付けないようにします。

また、しおれた花は病害虫の原因になるので、落ちた花びらなどもこまめに拾って清潔に保つようにしましょう。

切り戻し(剪定)

伸びすぎた部分を短く切り詰めることで、元気で新しい芽や葉を出させます。多年草は花後、花茎を切り戻すと秋まで花が咲きます。

  1. 株全体の半分くらいを目安に、わき芽(新芽)の上で切ります。
  2. 追肥として緩効性化成肥料を施し、たっぷりと水を与えます
  3. 株の勢いが回復するまでは、直射日光の当たらない場所で管理します。
種の取り方
  1. 開花後に結実を待ち、茶色くなったら花茎を切り取ります。
  2. 小さな種なので、新聞紙の上などで軽く振って採種します。
  3. 採取した種は日陰で干したあと、風通しのよい場所で保存します。

5.リナリアに発生する病気と害虫

病気と害虫

主な病気

苗立枯病

▼症状

茎の地際部がくびれたようになり、倒れて枯死します。発芽直後、または幼苗の時期に発生しやすいです。

▼発生時期

4~10月

▼予防と対策

  • 土壌伝染性の病気なので、新しい土か、消毒した清潔な土を使うようにしましょう。
  • 侵された株は根から引き抜き、土を消毒します。
うどんこ病

▼症状

新芽や若葉、茎、花茎に、うどんの粉のような白いかびが発生します。やがて全面に広がり、侵された部分が縮れたり枯れたりします。

菌はその植物特有の病原菌で、ほかの植物にはつきません。

▼発生時期

高温多湿の5~7月、9~11月

▼予防と対策

  • 普段から通気性をよくしておきましょう。
  • チッソ肥料の与えすぎに注意して、カリ肥料を多めに与えます。
  • 発生初期なら比較的簡単に治せる病気なので、薬剤で対処します。
灰色かび病(ボトリチス病)

▼症状

花、つぼみ、葉、茎などが、水に染みたように柔らかくなって褐色します。症状が進むと、灰色のかびが全体に広がって腐ります。かびの胞子は空中に飛び散り、さまざまな植物に伝染します。

▼発生時期

真夏を除いて、早春~晩秋(3~8月、9~11月)

▼予防と対策

  • 普段から、花がらや枯れ葉をこまめに取り除きましょう。
  • 水やりは、葉や花に水がかからないように株元にやるようにしましょう。
  • 密植はしないで、風通しを良くして、蒸れを防ぎましょう。
  • いったん病気に侵された株はもとには戻らないので、侵された部分を見つけたらすぐに取り除きましょう。

主な害虫

アブラムシ

▼症状

緑色や黒色をした小さな虫が群がって大量に発生します。植物に寄生して汁液を吸うため、生育がそこなわれます。甘い分泌液を出し、これにアリが集まるためアリマキとも呼ばれます。また、ウイルスを媒介して多くの病気を誘発します。

▼発生時期

4~6月、9~10月がピーク

▼予防と対策

  • 日当たりと風通しをよくし、発見したらすぐにピンセットや割り箸などでつまんで捕殺します。
  • 反射光を嫌うので、アルミホイルを敷いておくと寄り付きにくくなります。
  • アブラムシに牛乳を直接吹きかけると窒息死します。
  • 殺虫剤には比較的弱いので、市販の薬剤で簡単に退治できます。

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